非晶質系物質の原子配列は、X線回折法および中性子回折法などによって得られる任意の原子を基準に原子の存在確率を距離の関数として表す動径分布関数によって記述される。動径分布関数は、対象とする系の時間的・空間的平均としての原子配置を表す一次元情報であるが、短範囲の規則性しかもたない非晶質系物質の構造を定量的に示す唯一の手段である。通常、動径分布関数のピーク位置および面積に基づき、原子相関距離および配位数を導出し、構造モデルを構築する手法が汎用されるが、この手法で、数多くの原子相関が重なる中距離領域の構造を解析することは困難である。この問題の解決方法のひとつとして、数千の原子配列を、実験で得られた散乱強度を再現できるように最適化するreverse Monte Carlo(RMC)シュミレーションの応用が有効である。本発表は、RMC法の解析例をいくつか紹介する。