高知リハビリテーション学院紀要
Online ISSN : 2433-4553
Print ISSN : 1345-5648
ハンドヘルドダイナモメーターによる等尺性股関節外転筋力の測定
固定用ベルトの使用が再現性に与える影響
山﨑 裕司片岡 千春大倉 三洋酒井 寿美栗山 裕司稲岡 忠勝宮崎 登美子柏 智之中野 良哉
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2009 年 10 巻 p. 61-66

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抄録

固定用ベルトを併用したHand Held Dynamometer(以下,HHD)による新たな股関節外転筋力(以下,股外転筋力)測定方法を考案し,その再現性について検討した.<研究1:検者内再現性>健常者20名の両下肢40脚を対象とした.固定用ベルトを使用したHHDにはアニマ社製徒手筋力測定機器μTasMF-01を用いた.固定用ベルトを使用しないHHDには酒井医療社製徒手筋力センサEG-230及び220を使用した.股外転筋力値は1日目,2日目とも固定用ベルト不使用下(23.1kgf,23.0kgf)に比較し,固定用ベルト使用下(28.2kgf,28.7kgf)において有意に高値を示した(p<0.01).ベルト不使用下,使用下での級内相関係数(以下,ICC)は,それぞれ0.917,0.953であった.両測定方法間での筋力差とベルト使用下における筋力値の間には,有意な相関(r=0.783,p<0.01)を認め,筋力値が大きいほど測定方法間での差が大きくなった.<研究2: 検者間再現性>健常成人17名の両下肢34脚を対象とした.体格の異なる2名の検者によって,研究1と同じ固定用ベルトを使用したHHDを用いて股外転筋力の測定を実施した.筋力値は検者A,Bの順に31.1kgf,32.8kgfであり,検者間に有意差は認めなかった.検者間ICCは0.915であった.以上の結果から,今回の固定用ベルトを使用した股外転筋力測定方法は良好な検者内,検者間再現性を有することが明らかとなった.一方,固定用ベルトを使用しない方法は,筋力値の大きな対象群において測定値の妥当性に問題があるものと考えられた.

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