高知リハビリテーション学院紀要
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  • 母親と妻の比較
    石元 美知子, 和田 寿美, 瓜生 浩子
    2019 年 20 巻 p. 1-8
    発行日: 2019/03/30
    公開日: 2019/09/19
    研究報告書・技術報告書 フリー
    高次脳機能障害者とその家族及び支援者が全員女性であるピアサポートグループ『女子会』での家族(母親・妻)の会話内容から,母親と妻の抱える問題を抽出し,その相違点についてKJ法を用いて分析した.結果,母親,妻ともに抱える問題は【当事者を社会に戻すことへの不安】と【自身の葛藤】に統合された.母親では当事者を育て直す役割を担うため,《当事者の自立への不安》を抱えるのに対して,妻では家庭を築いてきたパートナーとして《当事者の自立を望む》問題を抱えるという違いがあった.また,母親・妻の【自身の葛藤】は,ともに《当事者を理解する(受け入れる)ことへの困惑》《家族の心配・不満》《自身の健康不安》であった.しかし,母親では<障害から生じる生活上の困惑>や<障害への悲嘆や不安><当事者への期待><当事者の反発への困惑>などの複雑な気持ちを抱えているのに対して,妻では依存や暴言・暴力などの<妻への態度変化への負担>や<周囲に迷惑をかけることへの心配>という違いがあった.共通の抱える問題は《当事者を取り巻く環境への不安》《家族の心配・不満》《自身の健康不安》であった.本研究によって母親と妻の抱える問題の相違点が明らかになった.
  • 國本 拓馬, 髙梨 晃, 兎澤 良輔, 塩田 琴美, 橋口 広太朗, 関根 亜矢, 向 伸也, 榎本 雄介, 加藤 宗規, 山﨑 裕司
    2019 年 20 巻 p. 9-12
    発行日: 2019/03/30
    公開日: 2019/09/19
    研究報告書・技術報告書 フリー
    健常者の左右反復重心移動時における足圧中心移動距離,及び荷重率の再現性を検討した.対象は健常成人12名である.2 枚の重心動揺計上に立位をとり,重心を左右方向へ反復移動させた.X軸上の0 地点から左右に最大変移した際の足圧中心までの距離を足圧中心移動距離とした.反復測定分散分析の結果,足圧中心移動距離,荷重率いずれも測定回数間において主効果を認めなかった.また,足圧中心移動距離の級内相関係数(1,1)は,右0.925,左0.905であった.同様に,荷重率は,右0.846,左0.778であった.さらに全ての指標において左右差を認めなかった.健常者における左右反復重心移動時の足圧中心移動距離,荷重率は,優秀な再現性を有することが明らかとなった.
  • 柏 智之, 片岡 達也, 栗山 裕司, 稲岡 忠勝, 平賀 康嗣, 宮﨑 登美子, 片山 訓博, 重島 晃史, 山﨑 裕司
    2019 年 20 巻 p. 13-16
    発行日: 2019/03/30
    公開日: 2019/09/19
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究では,徒手筋力検査でGrade5に相当する徒手圧迫力のばらつきと検者内再現性について調査・検討した.検査者は,理学療法士養成課程にある4 年次生20名である.模擬患者は,1 名の健常男性である.検査者は,模擬患者の肘屈曲,膝伸展,肩外旋,膝屈曲の徒手筋力検査を実施した.その際,アニマ社製徒手筋力計μTas-F1を用いて前腕遠位部,下腿遠位部の徒手圧迫力を測定した.肘屈曲,膝伸展,肩外旋,膝屈曲における1 日目の徒手圧迫力は,順に10.1±3.3kgf,14.2±5.7kgf,4.5±2.1kgf,10.1±3.1kgfであった.徒手圧迫力は,肘屈曲と膝屈曲間を除く全ての筋群間で有意差を認めた(p<0.05).肘屈曲,膝伸展,肩外旋,膝屈曲における徒手圧迫力の最小値ならびに最大値は,順に4.1-18.6kgf,4.6-27.0kgf,1.3-8.5kgf,5.5-16.4kgfであった.同様に2日目の徒手圧迫力は,順に10.6±3.2kgf,13.5±5.8kgf,5.0±2.7kgf,8.6±2.7kgfであった.膝屈曲筋力には,1 日目・2 日目の徒手圧迫力に有意差を認めた(p<0.05). 1 日目, 2 日目徒手圧迫力間の級内相関係数(1,1)は,肘関節屈曲,膝関節伸展,肩関節外旋,膝関節屈曲の順に,0.717,0.859,0.745,0.765であった.徒手圧迫力には検査者間で大きなばらつきが存在し,徒手筋力検査結果の妥当性を低下させる原因になるものと考えられた.
  • 応用行動分析学的介入の効果
    上村 朋美, 加藤 宗規, 山﨑 裕司
    2019 年 20 巻 p. 17-20
    発行日: 2019/03/30
    公開日: 2019/09/19
    研究報告書・技術報告書 フリー
    意識障害とPusher現象を呈した超高齢重度片麻痺患者における起立動作練習に段階的難易度設定による介入を適応し,その効果について検討した.介入では,座面の高さを50㎝,43㎝,40㎝へ徐々に低下させた.いずれの段階でも失敗することなく7 日間の介入によって,垂直棒を把持して起立動作が可能となった.介入中,意識障害や運動麻痺には明らかな改善を認めなかった.今回の介入は,本症例に対して起立動作を学習させるうえで有効に機能したものと考えられた.
  • 携帯型サイクルエルゴメータの早期使用
    中屋 雄太, 赤松 正教, 大木元 明義, 北岡 裕章
    2019 年 20 巻 p. 21-26
    発行日: 2019/03/30
    公開日: 2019/09/19
    研究報告書・技術報告書 フリー
    98歳女性.入院1 か月前に転倒し歩行困難となる.呼吸困難が増悪し,翌日入院.頻脈性心房細動によるうっ血性心不全との診断で,治療が開始された.第2 病日より心臓リハビリテーションを開始した.第3 病日より携帯型サイクルエルゴメータを20秒2 セットから開始.第4 病日より歩行訓練開始.第18病日よりシルバーカー歩行が監視下で可能となった.第24病日には,年齢相応まで下肢筋力が改善し,ポータブルトイレへの移乗が自立した.携帯型サイクルエルゴメータの使用は,歩行が困難な超高齢心不全患者の早期トレーニングを実施する上で有益なものと考えられた.
  • 自主トレーニング定着を目的とした応用行動分析学的介入
    中山 智晴, 山﨑 裕司
    2019 年 20 巻 p. 27-30
    発行日: 2019/03/30
    公開日: 2019/09/19
    研究報告書・技術報告書 フリー
    今回,訪問リハビリテーションにおける自主トレーニングに拒否的であった症例(81歳,男性)に対し,トレーニングの定着を目的とした応用行動分析学的介入を行い,その効果について検討した.介入前の活動量は,朝1 回120m先の理容室までの散歩のみであった.自主トレーニングを促したが,運動に伴う疲労感や寒さを理由としてこれを拒否していた.介入では,自己記録表を手渡し,スクワット回数を正の字で記録するセルフモニタリングを実施した. 1 日の目標を達成できていれば,セラピストや娘から注目,称賛を与えた.加えて,1 週間の合計スクワット回数を集計してグラフ化し,フィードバックした.ベースライン期のスクワット回数は0 回であった.介入開始後,ほぼ毎日目標を達成することが可能となった.そして, 2 ヶ月間で合計3680回のスクワットが実施できた.本介入中には,明らかな機能障害の変化はなかったが,連続歩行距離は約2 倍に増加し,友人との外出頻度が増えるなどの行動変容を認めた.
  • ペットの猫に会うための一時帰宅を強化刺激として
    内野 利香, 加藤 宗規, 山﨑 裕司
    2019 年 20 巻 p. 31-34
    発行日: 2019/03/30
    公開日: 2019/09/19
    研究報告書・技術報告書 フリー
    歩行量が増加しない軽度片麻痺患者に対して,一時帰宅を強化刺激としたトークン・エコノミー法による介入を行なった.介入前,連続歩行距離は最大60mであった.そこで,症例が強く望む「家に帰ってペットの猫に会いたい」という行動を活動性の強化として利用した.累計で起立200回,室内歩行300m,リカンベントバイク30分の実施に,それぞれ1ポイント付与し,20ポイント貯まれば理学療法士が付き添って外出し,自宅の猫に会いに行けることを約束した. 9 日目に連続歩行距離は600mまで増加した.11日間の介入によって20ポイントに到達し,一時帰宅が実現した.今回の介入は,症例の歩行量,運動量を増加させるうえで有効に機能したものと考えられた.
  • 栗山 裕司, 中山 剛, 宮﨑 登美子, 平賀 康嗣, 柏 智之, 片山 訓博, 重島 晃史, 稲岡 忠勝, 山﨑 裕司
    2019 年 20 巻 p. 35-37
    発行日: 2019/03/30
    公開日: 2019/09/19
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究では,自動的な足関節背屈角度,膝窩角度の日内変動を調査し,それが測定値の再現性に与える影響について検討した.対象は健常学生15名(男性8 名,女性7 名)で,年齢は21.8±2.3歳であった.身長は167.2±8.6㎝,体重は61.4±9.6kgであった.1 日目の膝窩角度は,午前,午後の順に144.7±12.5度,153.7±12.5度であり,午後で可動域は大きかった(p<0.01).午前,午後の膝窩角度間の級内相関係数(1,1)は,0.729であった.同様に, 1 日目の背屈角度は,11.3±6.1度,16.0±6.6度であり,午後で可動域は大きかった(p<0.05).級内相関係数(1,1)は,0.598であった. 測定時間が同じ場合, 1 ,2 日目の膝窩角度,背屈角度に有意差は認めなかった. 1 ,2 日目の朝,昼の膝窩角度間の級内相関係数(1,1)は,それぞれ0.984,0.970であった. 1 ,2 日目の朝,昼の背屈角度間の級内相関係数(1,1)は,それぞれ0.810,0.804であった.信頼性ある関節可動域測定を実施するには測定時間を統一しなければならない.
  • ハムストリングスでの検討
    平賀 康嗣, 栗山 裕司, 宮﨑 登美子, 柏 智之, 片山 訓博, 重島 晃史, 稲岡 忠勝, 山﨑 裕司
    2019 年 20 巻 p. 39-41
    発行日: 2019/03/30
    公開日: 2019/09/19
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究では,健常者のハムストリングスに対するストレッチを継続的に実施し,持続的なストレッチ効果が現れる治療期間について検討した.対象は,健常者14名(男性7名,女性7名)である.介入前右膝窩角は,137.7±12.1度であった.介入1 ,2 ,3 ,4 週目の右膝窩角は,それぞれ144.4±13.0度,152.7±10.5度,155.6±7.7度,162.0±6.2度であった.2 週目以降,開始時と比較し膝窩角は有意に増大していた(p<0.01).介入前左膝窩角は,138.8±12.4度であった.介入1 ,2 ,3 ,4 週目の左膝窩角は,それぞれ143.9±12.4度,151.3±7.8度,154.3±8.2度,160.7±6.1度であった.2週目以降,膝窩角は有意に増大していた(p<0.01).明確な膝窩角の改善は, 2 週目以降と説明することが妥当なものと考えられた.
  • 山﨑 裕司, 柏 智之, 宮﨑 登美子, 稲岡 忠勝, 平賀 康嗣, 栗山 裕司, 片山 訓博, 重島 晃史
    2019 年 20 巻 p. 43-45
    発行日: 2019/03/30
    公開日: 2019/09/19
    研究報告書・技術報告書 フリー
    レッグプレスマシーンを用いた足関節底屈筋力測定方法によって20歳代健常男女の底屈筋力を調査した.対象は,男性25名と女性25名の両脚である.最初に体重と機器によって生じる初期負荷重量を計測した.次に,最も軽い重錘負荷の状態で一側の検査足で体重を支持させ,最大底屈させた際の重錘の高さをマークした.そして,マークした高さまで重錘が挙上できた場合,最大底屈成功と判定した.挙上できた最大重錘重量と初期負荷重量を加えて最大底屈筋力を求めた.男性の測定値は,右102.5±19.3kgf,左100.6±19.5kgfであった.女性の測定値は,右71.0±18.9kgf,左67.2±14.9kgfであり,いずれも男性において有意に高値を示した(p<0.01).男性の筋力体重比は,右1.52±0.10kgf/kg,左1.49±0.10kgf/kgであった.女性の筋力体重比は,右1.34±0.13kgf/kg,左1.28±0.09kgf/kgであり,いずれも男性において有意に高値を示した(p<0.05).底屈筋力は体重を大きく上回り,踵上げ運動の反復を実現するうえで十分な筋力であった.
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