抄録
半側空間無視と注意障害を呈した重度片麻痺患者2症例に対して立位保持練習を実施した.介入では,前方にタイマーを掲示し,セラピストがカウントダウンを行うことで注意を持続させ,頸部の非麻痺側への回旋を防いだ.介入開始後,急速に立位保持時間は延長し,2症例はそれぞれ18日間,3日間の介入でトイレの縦手すりを把持した立位保持が可能となった.介入中,2症例の身体機能及び認知機能に大きな変化は見られなかった.短期間で立位保持が可能となったことから,今回のタイマーを用いた立位保持練習は,半側空間無視および注意障害を有する重度片麻痺患者の立位保持能力を改善させるうえで有用なものと考えられた.