抄録
外来リハビリテ―ション施行中の上肢骨折患者を対象に,セラピストが指導した自宅での運動内容に対する運動量と正確性に関するコンプライアンスについて調査し,コンプライアンスと関節可動域の改善度を指標とした訓練効果について検討した.その結果,外来リハビリテーション開始後 1 週において、正確な運動や指導した量の運動を行なえるものは3割程度、また5週の時点でも半数近くの対象者において指導した運動量に到達しておらず,コンプライアンスが不十分であることが示唆された.また,指導された運動を正確にかつ十分な運動量行なえていた患者は、行なえていない患者よりも関節可動域の改善度が高い傾向にあることが示唆された.以上のことから,外来リハビリテ―ション開始後早期から良好なコンプライアンスを獲得し,維持するための指導方法についてさらに検討する必要があると考えられた.