行動リハビリテーション
Online ISSN : 2758-7924
Print ISSN : 2186-6449
1 巻
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 鈴木 誠
    2012 年1 巻 p. 2-15
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2023/05/16
    研究報告書・技術報告書 フリー
    日常生活動作の障害に対する介入はリハビリテーションの根幹をなすものだが,はたして作業療法士,理学療法士,言語聴覚士は,「どのような対象者に,どのような日常生活動作訓練を,どの位の期間行ったら,どの程度動作が向上するか」という問いに答えることができるだろうか?これらの問いについて考えるため,本稿では,(1)日常生活動作障害に運動機能や認知機能の障害が影響しているか?(2)運動機能や認知機能の障害はどの程度改善するか?(3)日常生活動作障害は,運動機能や認知機能の障害のみによって説明できるか?(4)日常生活動作の学習を促進するためのポイントは何か?(5)臨床ではどのような日常生活動作訓練が行われているのか?という 5 つの側面から日常生活動作訓練について考察した.
  • 宮本 真明, 松本 卓也, 工藤 大志, 上田 美樹, 尼子 雅美, 雨宮 耕平, 鈴木 誠, 長谷 公隆
    2012 年1 巻 p. 16-22
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2023/05/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    脳血管障害患者において日常生活動作(Activities of Daily Living:ADL)の自立にどの程度のバランス能力が必要であるのかは定かではなく,臨床においてバランス能力の向上に対する目標値の設定が曖昧になっている.今回我々はADLの自立に必要なバランス能力を明らかにすることを目的に,回復期リハビリテーション病棟入院中の脳血管障害患者90例における「しているADL」とバランス能力の関係を調査した.その結果,食事,整容,椅子への移乗,トイレ動作,更衣,入浴動作の順でより高いバランス能力が要求されていた.各ADLにおいて非自立群の Functional Balance Scale(FBS)の得点は自立群に比べて有意に低値であり,ADL毎に自立が困難となるFBS得点の閾値が存在すると考えられた.また,FBSは椅子への移乗動作およびトイレ動作の自立度判定に有用であることが示唆された.その他のADLに関してはFBS得点のみで自立度を判断するのは適切でないと考えられた.
  • 小嶋 智子, 鈴木 誠
    2012 年1 巻 p. 23-29
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2023/05/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    近年,様々なリハビリテーションの場面において,応用行動分析学によるアプローチが成果をあげることが多くの実証研究によって示されてきているが,日常生活動作における新たな行動様式を学習する過程を詳細に検討した報告は希少である.今回,脳卒中に起因した運動機能障害によって日常生活動作全般に介助を要した対象者に対して,特に更衣動作とトイレ動作に焦点を当て,練習中の失敗経験を少なくすると同時に,練習中に出現した適応的な行動に対して強化刺激を随伴させる介入を行った.その結果,介入を行なった更衣動作に指数関数的な改善を認めた.一方,トイレ動作は階段状に改善した.しかし,動作障害に影響を及ぼしていたと推測される神経学的および神経心理学的所見には明らかな改善を認めなかった.以上の結果から,今回実施した応用行動分析学に基づく介入は,動作に影響を及ぼす機能障害自体よりもむしろ,更衣やトイレ動作という特定の日常生活に関連する動作の改善に働き,介入による学習過程は各動作によって異なるものと推測された.
  • 杉村 誠一郎, 鈴木 誠, 大森 圭貢, 畠山 真弓, 中館 美保子, 杉村 裕子, 笹 益雄
    2012 年1 巻 p. 30-38
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2023/05/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    外来リハビリテ―ション施行中の上肢骨折患者を対象に,セラピストが指導した自宅での運動内容に対する運動量と正確性に関するコンプライアンスについて調査し,コンプライアンスと関節可動域の改善度を指標とした訓練効果について検討した.その結果,外来リハビリテーション開始後 1 週において、正確な運動や指導した量の運動を行なえるものは3割程度、また5週の時点でも半数近くの対象者において指導した運動量に到達しておらず,コンプライアンスが不十分であることが示唆された.また,指導された運動を正確にかつ十分な運動量行なえていた患者は、行なえていない患者よりも関節可動域の改善度が高い傾向にあることが示唆された.以上のことから,外来リハビリテ―ション開始後早期から良好なコンプライアンスを獲得し,維持するための指導方法についてさらに検討する必要があると考えられた.
  • 中村 恵理, 鈴木 誠
    2012 年1 巻 p. 39-45
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2023/05/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    脳血管障害による筋力低下を有した患者に対して,機能障害および日常生活動作障害に対する測定結果を基に目標値を明確に設定し,目標への接近に対して強化刺激を随伴させるよう配慮した訓練を実施した研究は希少である.そこで,今回我々は,視床出血を呈し著明な筋力低下を認めた対象者に対して,目標を明確化した訓練を実施し,筋力および日常生活動作能力の推移を観察した.その結果,非麻痺側および麻痺側の筋力は向上し,筋力の向上と並行して日常生活動作障害が改善した.本研究の対象者においても,目標を明確化したレジスタンストレーニングと日常生活動作訓練を複合的に実施したことが筋力と日常生活動作障害の並行的な改善に寄与していた可能性がある.
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