抄録
Pusher症状,半側空間無視を呈した重度右片麻痺患者に対して,先行研究で用いられていた健側下肢外転防止台に代わるプロンプトとして下腿外側に額枕を固定する方法(下腿クッション)を考案し,立位動作学習に及ぼす影響を検討した.介入前は,平行棒内立位においてPusher症状が増強するため,姿勢修正のために 2人の介助を要していた.介入では,6段階の難易度設定を行った立位練習を実施した.その際,健側下肢外転を防止する目的で下腿クッションを使用した.立位時には,下腿クッションを壁に押し付けるように指導することで下肢外転運動を抑制することが可能であった. 介入28日目(39病日)で段階⑥の縦手すり把持条件で3分間の立位保持が口頭指示とタッピングによる注意喚起によって可能となった.短期間の間に立位保持能力が改善したことから今回の下腿クッションを用いた立位練習は有効に機能したものと考えられた.また,下腿クッションを用いることで立位保持が安定しない時期からスタッフ1人での歩行練習が可能となった.健側下肢外転防止台を使用した場合,2名のセラピストがいなければ歩行練習は不可能である.よって,この点でも下腿クッションの使用は有益なものと考えられた.