抄録
失語症を有する片麻痺患者の起居移乗動作練習に応用行動分析学的技法を用いた介入を導入し,その効果について検討した.起居移乗動作の過程を13の下位項目に課題分析し,一連の動作の中で要した手がかり刺激の種類によって点数付けを行った.2セッションの経過の後,①起き上がり動作,②起立動作,③移乗動作の3つの部分練習を開始した.部分練習ではそれぞれ逆方向連鎖化,段階的難易度調整,プロンプトフェイディングの技法を用いて環境整備を行った.なお,結果のフィードバックは点数の改善がみられた部分のみに着目し,賞賛した.介入後5セッションで起き上がり動作が自立,13セッションで移乗動作の自立に至った.この間に運動麻痺の若干の改善はみられたが,失語症やその他の身体機能には著明な変化はみられなかった.これらのことから失語症を合併した症例においても,応用行動分析学的技法を用いた動作練習が有効に機能したものと考えられた.