看取り目的で入院した重度認知症患者の暴言・拒食行動に対して応用行動分析学的介入を行った.介入前,言語聴覚療法中の平均暴言回数は29回,摂食行動は全く見られなかった.介入では,分化強化の技法を用いた.つまり,患者の暴言は消去し,適切な行動が生起した際には,称賛や身体接触などの強化刺激を付与した.拒食に対しては,食事時の環境調整と摂取した際に注目・称賛などの強化刺激を付与した.その結果,暴言は減少し,フォローアップ期にはほぼ消失した.食事は,徐々に食事摂取量が増加し,フォローアップ期には全量摂取が可能となった.今回の応用行動分析学的介入は,認知症患者の暴言,拒食行動を減少させるうえで有効に機能したものと考えられた.