2023 年 27 巻 p. 4-32
本稿では、およそ100年にわたるプロパガンダ論の主要論文を検証しながら、その意味と役割を考える。プロパガンダの事例は紀元前からあるが、理論化されたのは第一次世界大戦期からである。主な論考として、エドワード・バーネイズ、ウオルター・リップマン、ハロルド・ラスウエル、ジャック・エリュール、リンドリ・フレーザーなどの定義や主張を紹介する。それらが現代の社会を考えるうえできわめて示唆に富むからである。21世紀の現在、政治や社会は大きく変動しつつある。この時代こそマス・コミュニケーションやパブリック・リレーションズの根底にあるプロパガンダの意味を再考する必要がある。