本稿では、およそ100年にわたるプロパガンダ論の主要論文を検証しながら、その意味と役割を考える。プロパガンダの事例は紀元前からあるが、理論化されたのは第一次世界大戦期からである。主な論考として、エドワード・バーネイズ、ウオルター・リップマン、ハロルド・ラスウエル、ジャック・エリュール、リンドリ・フレーザーなどの定義や主張を紹介する。それらが現代の社会を考えるうえできわめて示唆に富むからである。21世紀の現在、政治や社会は大きく変動しつつある。この時代こそマス・コミュニケーションやパブリック・リレーションズの根底にあるプロパガンダの意味を再考する必要がある。
近年、日本の企業コミュニティにおいてアクティビストファンド(「アクティビスト」)の位置づけが大きく変化しつつある。本研究では、日本の企業コミュニティにおけるアクティビストへの正統性形成プロセスに関する考察を行った。全国紙等の記事を対象としたテキスト分析の結果、アクティビストに対する認識が大きく変化していること、その要因には2013年以降に行われた第2次安倍政権時代に行われたコーポレート・ガバナンス改革により、アクティビストの行動変化ならびに日本企業の望ましいガバナンスのあり方に関する価値観が変化したことが大きく影響していることを示した。最後に、これら正統性を有したアクティビストと企業のあるべき関係性の考察を行っている。
本研究では、ICT化が進む現代社会において情報弱者に陥ることが懸念される高齢者世代を対象に、自治体広報がどのような経路で伝播していくのかを考察するため、三重県四日市市をフィールドに、サロンとケーブルテレビの関係から高齢者の口コミ発生の実態を調査した。この結果、ICT化の中で情報弱者となり得る高齢者世代が、デジタル機器を「持つこと」以外にも有用な格差解消の手段を有していることが明らかになった。また本研究成果を基に、自治体広報の一助となるべく施策提言を行うものである。
製品に欠陥が生じることで、ステークホルダーが製品の提供元である企業に批判を向けることがある。先行研究では欠陥が生じる前の企業イメージが欠陥によるダメージを軽減することが示されていた。しかし、これまでの研究では、欠陥が生じたとき、企業に対する態度がネガティブになりにくくなる企業イメージは、欠陥をもたらす製品イメージごとに異なるのかが示されていなかった。そこで、本研究は新たに「一致」概念を導入することで、欠陥製品が企業に対する態度に与える影響が、企業イメージだけでなく、製品イメージによっても調整されることを明らかにすることを目指した。実験の結果、刺激的なイメージの企業によって革新性が高いイメージの製品が導入されたとき、両者の一致度が高くなるため、欠陥の発生後の企業への態度のスコアも高くなることが示された。
2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻は、当初からPR業界が公然と関与していた特殊な戦争である。本研究は戦時におけるPR業界の動きを分析するため、侵攻開始から3か月の間にPR会社や業界団体が公開した声明とPR会社に言及した報道を収集し、分析した。その結果、ウクライナ内外のPR会社による政府支援は侵攻開始直後から始まり、各種PRサービスの提供だけでなく国際的な支援ネットワークの形成、ロシアを非難しウクライナへの支援を訴える一貫した声明の発表、ロシアからの撤退と業界からのロシアの排除が行われていたことが明らかになった。
近年、結婚式の多様化に伴い海外ウェディングが広がりをみせており、これらの挙式情報は『ゼクシィ』のような結婚情報メディアに集約され、消費者はメディアを経由し式場情報にアクセスするようになっている。本稿では『ゼクシィ』を海外ウェディング選択の初期段階で接触するメディアと位置づけ、そこで紹介される各地域の挙式情報について検討を行った。その結果、式場情報は、先行する観光イメージを基礎として、式場形態、ロケーション、その他イベント等で構成されていることが明らかになった。またハワイの場合、他の地域よりも多様で詳細な情報が提供されており、海外ウェディングにおけるハワイの優位性が示唆された。
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