抄録
本研究では,普及が進むSAEレベル2の運転支援システムに着目し,システムの利用がドライバーの運転行動にどのような影響を与えるのか検討を行った.運転支援システムは,交通事故削減につながることが期待されている一方,システムの利用によってドライバーの注意散漫状態が誘発されることがあれば,近い将来の交通社会における新たな事故リスクとなりかねない.本研究では,10名の実験参加者にドライビングシミュレータ上に構築した仮想高速道路環境を運転してもらい,運転支援システム使用有無による運転行動の変化を調査した.解析の結果,運転支援システム使用時には,ドライバーが眠気を申告していない状態であっても運転中の視線移動回数が有意に増加するとともに,運転の注意度に関する主観評価値が有意に減少した.運転支援システム使用時にはドライバーの脇見とみなせる視線移動が増加したことを併せると,今回の結果は,ドライバーが眠気の症状を訴えていない場合であっても,システム利用によって注意散漫状態が誘発されるおそれがあることを示唆するものといえる.