こころの健康
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在宅痴呆老人の介護者のメンタルヘルスの研究 (第1報)
安田 美弥子
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1996 年 11 巻 1 号 p. 63-71

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抄録

都内下町の保健所で管内の住民を対象として保健婦が主催している「ぼけ老人を抱える家族の会」の参加者の中から介護困難を訴える家族10ケースに詳細な面接調査を行った。
その結果, 介護者の9人は女性で, 年齢は30代から50代, 男性は1人だけで妻を介護する72歳の夫であった。介護期間は平均8年半に達し, 8人が精神科に受診し服薬やカウンセリングを受けていた。症状が出るまでには介護負担だけではなく, 夫婦関係や子供の問題, 親族とのトラブルなどが重なっており, 発症のきっかけに専門家の不適切な対応が多く認められた。これ以上続けるのは無理と医師に診断され, 介護を続けられないケースもあったが, 介護者の年齢をとわず介護意欲は旺盛で, そのためにかえって介護負担が強まっていた。
ストレスは老人が死亡したり施設入所した後も続いており, 専門家の援助や, セルフヘルプグループの援助が必要とされていた。
事例を中心にストレスの原因を分析し対策について提言を行った。

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© 日本精神衛生学会
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