【背景】犯罪被害者は身体的・精神的侵襲に曝されやすいにもかかわらず、医療機関への受診が必要でありながら医療機関を受診しない(できない)事例が多いと報告されている。そこで、犯罪被害者が医療機関の受診を躊躇する理由、および躊躇することとコーピング特性との関連を明らかにする目的で、横断的調査を実施した。【方法】二次被害に配慮した侵襲の少ない調査法として、インターネット調査会社の一般モニターの中から犯罪の被害に遭ったことのある男女に任意の協力を依頼した。質問項目は、医療機関受診を躊躇する要因と思われる22項目、改訂出来事インパクト尺度IES-R、コーピング特性簡易評価尺度BSCP、および被援助志向性尺度である。【結果】回答者1,093人(17-80歳、男59.4%、女40.6%)中、犯罪被害後に医療機関受診した人は58人(5.3%)に過ぎなかった。躊躇した要因と思われる22項目を因子分析した結果、「二次被害への不安」、「他者への不信」、「受診の判断・選択の困難さ」、「受診の必要性に確信がもてない」の4因子が抽出された。4因子を尺度化したところ、IES-R及びBSCPの下位尺度と相関があった。かつBSCPの「解決のための相談」は、IES-Rの得点の高低にかかわらず病院受診行動と関連していた。【考察】犯罪被害者の受診行動は、被害の深刻さに関わらず被害者のコーピング特性に影響されている可能性がある。コーピング特性に配慮した二次被害の予防、適切な犯罪被害者対応、健康教育(個人特性と受診行動の関係)等が必要と考えられる。
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