こころの健康
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最新号
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大会長講演
基調講演
関連3学会合同シンポジウム――「発達」をめぐる支援者のタテの連携を目指して
大会企画シンポジウム「東日本大震災後の“こころの復興”への取り組み」
研究報告
  • ――半構造化面接の質的分析と心理検査から――
    小澤 千咲, 岡野 憲一郎
    2014 年 29 巻 1 号 p. 77-86
    発行日: 2014年
    公開日: 2024/06/01
    ジャーナル フリー
    本研究では,性産業従事者(commercial sex worker,以下CSW)の心理的傾向および問題について調査することを目的とし,都内のソープランドで働く16 名の女性CSW に対し,半構造化面接と量的調査(MMPI およびDES-T)を実施した。面接の結果,①幼少時の外傷体験などを契機とした性風俗の仕事が新たな外傷体験を生むという「パラドキシカルな外傷体験」,②早急な自立願望から熟考を欠いた安易な行動化を示すという「躁的防衛としての旺盛な行動力」,③経済的自立に伴う金銭感覚の麻痺などにより目的と手段を混同してしまうという「ソープの仕事への依存」,④自らを適応的に解離させ,良質なサービスの提供に努める仮面の下には心的な未熟さが潜んでいるという「プロフェッショナリズムに隠された脆弱な私的自己」の4 つのコアカテゴリーが得られた。また,MMPI からは自分で対処しきれない悩みを抱えていることが示唆され,DES-T からは病的解離傾向との関連性が示唆され,それぞれ質的データを裏付けるものであった。
資料
  • ――北海道家庭生活総合カウンセリングセンターの実態から――
    安井 勇輔, 西川 瑞枝, 長谷川 理絵子, 善養寺 圭子, 傳田 健三
    2014 年 29 巻 1 号 p. 96-104
    発行日: 2014年
    公開日: 2024/06/01
    ジャーナル フリー
    北海道家庭生活総合カウンセリングセンター(以下センター)が行った相談記録の再集計に基づき,一般 市民の悩みと社会情勢との関連を相談件数の推移から検討した。相談の分類方法を統一した1997 年から2012 年 までにセンターに寄せられた生活に関わる相談106,558 件と,北海道警察から委託されて行っている犯罪被害者相 談室に同じ期間に寄せられた相談15,635 件を対象とした。生活に関わる相談は電話・面接相談件数,男女別件数, 相談者年齢別件数,相談内容別件数,生き方に関連する相談内容における心の病による相談件数の5 項目に分類 し年代ごとの推移をそれぞれ比較した。被害者相談に関しては全相談件数と内容別に年代ごとに推移を比較した。 相談件数は年々増加しており,相談者の年齢に関しては20 代以下からの相談件数は大きく減少しているが50 代 以上からの相談は増えていることがわかった。相談内容は生き方に関連する相談が年々増加しており,近年では全相談件数の6 割を占めていた。被害者相談に関しては2004 年と2010 年を除いて件数はほとんど変わっておらず,2004 年には殺人や通信犯罪等の被害を含めた犯罪相談が増加し2010 年には被害妄想的相談などの犯罪外相談が増えていることがわかった。この結果を経済指標の1 つである完全失業率と比較すると,大きな経済的損失が起こった年には相談件数と完全失業率は増加し,長期の好景気が続いた年には相談件数と完全失業率は減少していた。このことから悩みは景気と何らかの関連をもつ可能性があると考えられた。近年顕著に増加している生き方に関連する相談について,相談者の需要に相談施設が追い付いていない可能性や,また生き方に関連する相談のうち心の病を持つ人からの相談が増加していることから主治医や家族に相談できない悩みをセンターに相談している可能性が考えられた。被害者相談には振り込め詐欺等の新形態の犯罪の増加や不景気が続いていることが影響している可能性も考えられた。
書評
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