こころの健康
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子どものメンタルヘルス支援システムのあり方
その1保護者の支援者・機関利用状況調査から
雨宮 由紀枝大津 一義吉川 菜穂子山田 浩平阿部 裕柳田 美子寺岡 満里出原 嘉代子小出 純恵水上 玲子吉川 武彦喜多 祐荘浜田 友子磯部 祥子富田 富士也荻野 ゆう子
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2002 年 17 巻 1 号 p. 66-76

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抄録

「子どものメンタルヘルス支援システムのあり方」を探る第一段階として, 保護者の支援者, 機関利用の実態に視点をあて検討した。その結果, 保護者に広く知られている支援者・機関が複数存在するものの, 支援者・機関への不満・不信感や世間体などの要因により, 支援を必要としていながらも実際の利用にあまり結びついていない実態が明らかになった。この実態を踏まえると, 専門家はもとより, 本人・保護者・家族・友人・地域の人々など, 専門家以外の人も巻き込んだこころの支援ネットワークを実現していく必要がある。そのためには, 子どもや保護者が主体的にこころの健康や問題に対処できる能力を培うためのライフスキル教育を含む家族のカウンセリング研修システムの確立, 学級担任や小児科医が子どものこころに対し適切に対応できる能力を向上させること, 利用者が必要に応じて選択できるようなさまざまな相談の機会および相談窓口を用意すること, 専門機関についてのわかりやすい情報提供, ピアサポート, アウトリーチ型のアプローチが大切である。

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© 日本精神衛生学会
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