本研究では,教科学習の中で書くことに取り組む教育方法である「文筆活動法」にどのように取り組んできたのかを明らかにしたうえで,そうした取り組みと日本作文の会の活動方針とを比較しながら,「文筆活動法」という用語が十分に定着しなかった背景にどのような課題があったのか検討した。資料として,日本作文の会の機関誌『作文と教育』と明星学園PTA会報『道』を用いた。その結果,活動方針に見られる理念を反映した具体的な「文筆活動法」の実践においては,教科学習の中で書かせることの教育的意義が継続的に明らかにされてきたことが到達点としてあげられる。一方で,教科学習の中で書くことに取り組む「文筆活動法」と「生活綴方」とは異なるものであり,「文筆活動法」はあくまで副次的な取り組みであるという認識を払拭しきれなかったことが課題であった。