抄録
人間には自己と非自己を認識する能力がある。肺移植レシピエント(ホスト)の免疫能は,ドナー肺(グラフト)を非自己と認識し,排除するように作用する。これが拒絶反応であり,発症時期,免疫機構等により分類されている。肺移植レシピエントはグラフト機能に依存しているため,拒絶反応によりグラフト機能不全に至れば致命傷となってしまう。この点から,肺移植レシピエントは拒絶反応を抑制するため免疫抑制薬を生涯にわたり服用する必要がある。ここでは肺移植に用いられる免疫抑制薬について記載するが,移植施設により免疫抑制療法プロトコールは異なる。そのため,本連載では東北大学病院またはトロント総合病院の使用例を提示しながら解説する。