抄録
近年、環境汚染による森林衰退、樹木医制度の制定など樹木の健康状態に対する社会的関心が高まっている。しかしながら、植物を非破壊で簡易的に診断する技術は未だ確立されていない。アコースティック・エミッション(AE)は超音波の非破壊検査手法の一つで、材料の欠陥検出や強度の評価、接着・溶接部の検査、構造物の保守検査などに利用されている。また、最近、植物が水通導に伴い超音波を発生することが発見され、AEによる植物の診断法の確立が期待されている。そこで、本論文では、酸性土壌でのスギ苗木や被爆クスノキのAE測定の報告を交え、植物と人間との新たなコミュニケーション方法としてのAEの可能性について紹介する。