GIGAスクール構想の導入に伴い,各自治体では独自にGIGA端末に関するルールを設定している。そのルールの内容や傾向を把握することにより,今後のGIGA端末に関するルールづくりに関わる傾向や課題を明らかにすることが出来ると考えられる。そこで,本研究では,各都道府県が発行するGIGA端末に関するルールが示された資料を対象に,インターネット検索を用いた調査と分析を行った。
その結果,①各都道府県における67自治体のうち,約半数の教育委員会がルールを提示していないこと,②ルールを提示している自治体のルールには「利用目的」,「利用制限・禁止」,「健康」,「端末管理」,「データの運用」,「モラル」,「トラブル対応」,「その他」に関するルールがあり,ルールの構成要素としては「健康」に関するルールが最も多く,次いで「利用制限・禁止」に関するルールが多いこと,③子どもたちのネットトラブル経験率が高い自治体と低い自治体では,ルールの設定状況には大きな差がないことが明らかとなった。これらの結果から,各都道府県が定めるGIGA端末に関するルールは,児童・生徒の実態や活用ニーズに即したルールとなっていない可能性や各自治体の効果的なルールの設定にはルール設定状況の公開が重要であることが示唆された。
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