コンピュータ&エデュケーション
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特集 「データサイエンス教育は何を目指しているのか―新学習指導要領における教科「情報」の役割と大学教育の役割―」
  • ―学校教育から見るAI時代に必要な統計教育の3要素の学び―
    竹内 光悦
    2022 年 52 巻 p. 12-17
    発行日: 2022/06/01
    公開日: 2022/12/06
    ジャーナル フリー

     近年AIの発展が目覚ましく,様々な場面で,AIの活用が期待されている。一方でAIの結果を信じることの弊害もあり,データを扱う科学教育である統計教育を改めて考える必要がある。本稿ではAI時代での統計教育に求められるものとして,学校教育における内容から統計教育の3要素(統計的リテラシー,統計的推論力,統計的思考力)の学びに注目し,学習指導要領におけるこれらの3要素の概要に触れ,加えて,3要素の学びを活用することを期待されるコンテストが関連学会等で多数開催されていることを紹介した。

  • ―新学習指導要領解説およびその他の資料から見えること―
    大橋 真也
    2022 年 52 巻 p. 18-23
    発行日: 2022/06/01
    公開日: 2022/12/06
    ジャーナル フリー

     新学習指導要領の共通教科情報において,データサイエンスが新出項目として導入される。情報におけるデータサイエンスの扱いは,「情報Ⅰ」においてはデータの整理や分析,可視化の手法を中心とした内容であり,「情報Ⅱ」においては,機械学習などAIの基礎を学ぶ高度なプログラミングも含まれている。ここでは,共通教科情報と大学の情報教育との接続についてや現場である高等学校における現状について,新学習指導要領および教科書等をもとに考察した。

  • ―中等教育における統計リテラシーとは―
    武沢 護, 吉田 賢史
    2022 年 52 巻 p. 24-29
    発行日: 2022/06/01
    公開日: 2022/12/06
    ジャーナル フリー

     新しい学習指導要領において,中学校と高校で確率・統計の内容の重視が示された。本研究では,大学附属の中学校・高等学校におけるデータサイエンス教育の取り組みに基づき,中等教育における統計リテラシーの育成について議論する。ここでは統計リテラシーを統計的知識やデータ分析能力だけでなく,幅広い総合的な知識に基づく能力ととらえ,統計的リテラシーの育成を目的として,中学校と高等学校で行われている実践を紹介し,統計教育に関わる教員養成,カリキュラム開発,他教科との連携,大学教育との連携に関わる課題について述べる。

  • 篠田 有史, 吉田 賢史
    2022 年 52 巻 p. 30-35
    発行日: 2022/06/01
    公開日: 2022/12/06
    ジャーナル フリー

     データサイエンスに関するニーズの高まりにともない,各大学が独自の取り組みでデータサイエンス分野の学部・学科を強化する中,文部科学省が「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度(リテラシーレベル)」(MDASH-Literacy)をスタートさせ,様々な大学がデータサイエンス教育の提供に動き出している。本稿では,データサイエンスに関連する学部を持つものの,全学向けにはデータサイエンス科目を持たない大学の一つである甲南大学における,MDASH-Literacy対応についての事例を紹介する。MDASH-Literacyの概要について簡単に紹介した後,甲南大学がデータサイエンス科目を接地した共通基礎教育の枠組みの中で,データサイエンス科目の学びを活かすために,どのような取り組みを実施するべきか,一連の新入生向けの導入科目を担当する教員の視点から検討する。

  • ―現代社会の『論語と算盤』―
    土田 潤, 宿久 洋
    2022 年 52 巻 p. 36-41
    発行日: 2022/06/01
    公開日: 2022/12/06
    ジャーナル フリー

     高等教育におけるデータサイエンス教育への社会的要請は強まるばかりである。このような流れを受け,文部科学省では,数理・データサイエンス・AI教育の推進に力を入れており,教育プログラムの認定制度を制定や,推進のためのコンソーシアムの構築を行っている。本稿では,近年のAI戦略など社会的な背景を概観し,2021年度から開始された認定制度やコンソーシアムが策定した標準カリキュラムの説明を通して,高等教育に求められているデータサイエンス・AI教育の内容について俯瞰する。その取り組み例として,同志社大学において開始される「同志社データサイエンスAI教育プログラムDDASH」について解説する。

研究論文
  • ―インタビュー結果を用いたM-GTAを通して―
    平山 靖
    2022 年 52 巻 p. 42-47
    発行日: 2022/06/01
    公開日: 2022/12/06
    ジャーナル フリー

     本研究は,学級担任が1人1台端末を協働学習に活用できるようになる要因及び,要因間の関係を明らかにするものである。そのために,著者が学級担任に全体研修を行うとともに,個別の支援も行い,共に授業改善を行った。研修を通して1人1台端末を協働学習に活用できるようになった学級担任へのインタビュー内容と,著者が関わらなくとも1人1台端末を協働学習に活用できるようになった教員へのインタビュー内容を修正版グラウンテッドセオリーアプローチ(M-GTA)で分析し,成長の要因は7種の促進要因と3種の阻害要因で説明できることを確認した。それらを,先行研究を参考にして1人1台端末を協働学習に活用できるようになる成長の要因及び,要因間の関係図を作成した。促進要因の中でも,自身での活用体験・使用経験の重要性が示唆された。

  • 小林 渓太, 酒井 郷平
    2022 年 52 巻 p. 48-53
    発行日: 2022/06/01
    公開日: 2022/12/06
    ジャーナル フリー

     タイピングが苦手な学生は年々増加しているが,いつどのようにして苦手になったのかは明らかにされていない。本研究の目的は,タイピングが苦手になる要因を明らかにすることである。大学生を対象に質問紙調査を実施したところ,中学1年生や高校1年生など進学時に苦手になりやすいこと,特に高校生で苦手になる生徒が多いことが分かった。その理由をテキストマイニングにより分析したところ,①キーボード入力を難しいと感じたこと,②入力が遅いと自覚したこと,③PCに触れる機会がないこと,④授業やテストでできなかったこと,⑤周りと比較してできなかったことの5つの要因を得ることができた。

  • 三井 一希, 板垣 翔大, 泰山 裕, 大久保 紀一朗, 佐藤 和紀, 堀田 龍也
    2022 年 52 巻 p. 54-59
    発行日: 2022/06/01
    公開日: 2022/12/06
    ジャーナル フリー

     小学生のクラウドに関する知識の実態を大学生との比較を通じて把握することを目的に,関連文献をもとにクラウドの知識を評価するための観点を作成し,その観点に基づいた調査を行った。結果,小学生と大学生ともにクラウドを活用することで感覚的に理解できる内容がある一方で,クラウドを活用しているだけでは理解が進まない内容があるため,授業でクラウドの活用がスタートする小学校段階で取り立てて指導する機会が必要であることが示唆された。

  • 加藤 浩治
    2022 年 52 巻 p. 60-65
    発行日: 2022/06/01
    公開日: 2022/12/06
    ジャーナル フリー

     2020年にCOVID-19対策として全国の大学で行われたオンライン授業の受講状況と心身不調について,4大学5学部の大学生にアンケート調査を実施した。ICTを使って受講する状況の各項目が心身不調に及ぼす影響を比較するため,554名の学生の調査データに数量化理論の第Ⅱ類を適用して分析した。その結果,PCの作業時間と連続作業時間の長さをはじめ,ICT機器が調整しにくいこと,画面が明るいこと,部屋が暗いことなどが,不調に影響を与えていることが示唆された。この結果から,大学生がICT機器を利用し健康に学修を進めるための条件について考察する。

実践論文
  • ―テキストマイニングと統計分析を用いたオンライン授業と対面授業の比較―
    小山 久子
    2022 年 52 巻 p. 66-72
    発行日: 2022/06/01
    公開日: 2022/12/06
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は,[道徳指導法]の授業を対象に,2020年度のオンライン授業において,2019年度の対面授業と比較し,授業のねらいが実現したかどうか(授業の効果性)を分析・考察することである。そのために,限定的なデータではあるが,毎授業時に感想文を収集し,テキストマイニングと統計分析を活用する。まず,抽出語リストと共起ネットワークによる分析から,授業回の全体において,履修者が何を学ぶことができたかについて比較・考察した。その結果,両年度とも授業に前向きに取り組む履修者の思いを概観することができた。次に,各[授業回]と授業のねらいを表す[コード]とのクロス集計を行い,[授業回]の全体と[コード]の関係をχ2検定によって確認した。さらに,各[授業回]と[コード]の個別の関係性について,残差分析を用いて明らかにした。結果として,オンライン授業においても,授業回ごとの授業の効果性は,対面授業と概ね同程度であることが確認できた。

  • 趙 艶, 高瀬 治彦, 北 英彦
    2022 年 52 巻 p. 73-78
    発行日: 2022/06/01
    公開日: 2022/12/06
    ジャーナル フリー

     本研究では,第二言語学習(特に日本語学習)のピアレビュー作文授業においてその効果を保つような,ピアレビュー支援システムを構築することをめざした。本研究では,ピアレビュー作文授業の以下の問題に着目した。(1)ピアによる作文のチェックが不十分であり,作文の修正が十分にできない問題と,(2)ピアが自分のコメント(レビュー)を振り返ることが考慮されていない問題である。提案として,二つの拡張(システムによる自動チェックとレビュー結果の振り返り機能)を行ったピアレビュー支援システムを構築した。提案システムを実際の作文授業で試用し,第一の拡張である「システムによる自動チェック」が学習者の気づきの助けになったこと,第二の拡張である「レビュー結果の振り返り機能」が学習者に好意的に受け入れられたことが確認できた。最後に,システム全体の総合評価を行い,学生に今後も使用したいと感じさせるものであったことを確認した。

実践報告
  • 小林 貴之, 佐藤 豪, 田中 忠司, 大川内 隆朗
    2022 年 52 巻 p. 79-82
    発行日: 2022/06/01
    公開日: 2022/12/06
    ジャーナル フリー

     情報化社会に適応する学生の教育を実現する中では,PC教室のみでなく校内の至る箇所で無線LANを介した通信環境を提供することが重要となってきている。これを実現するためには,電波が届くのみでなく,多くの端末が同時に通信する状況下でも円滑に講義を行うことのできる機器を配備し,さらには効率的に管理する方法を実装する必要がある。本稿では私立高校を事例に,設計要件,機器の選定,運用管理,教員・生徒の活用の変化までを含めた,校内の無線LAN環境構築に関する一つのモデルケースを提案する。

ソフトウェアレビュー
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