抄録
20世紀の版画家M.C.エッシャーの美しいタイル張りについては誰もが知っている。双曲平面に基づく「天使と悪魔」は最も有名なものであるが、これより少し前、エッシャーは、より身近なユークリッド平面における繰り返しパターンについての独創的な研究を行っていた。本稿では、コンピュータを利用することにより、エッシャーの発想を機軸とするいろいろなパターンを生成したり、その性質について調べる総合学習・一般教養教育での活動を紹介する。これらを通して、芸術や文化史への理解を深めさせると同時に、現代数学の有用性を理解させ、それらに興味をもたせることができる。この芸術と数学にまたがるクロス教材において、コンピュータは、構造を理解し、実験を行うためのツールとして重要な役割を果たす。