抄録
学校教育において選択科目は,学生(受講希望者)のモチベーションや学習意欲に大きく影響を及ぼすという点において,極めて大きな役割と可能性を有している。選択科目とは「学生の嗜好性を反映させる」ために設けられているものの,様々な制約上,それが十分に考慮されているとは言いがたい。そればかりか,「学生の嗜好性を反映させるためのシステムにもかかわらず,かえって学生の学習意欲を減退させる」というパラドクスさえ内包している。本論文では,選択科目のクラス編成手法の重要性に着目し,従来,機械的な公平性の元になされてきたクラス編成手法の問題点を指摘する。そこから,学生の嗜好性を考慮できる「多属性効用理論に基づくクラス編成手法」を提案する。本論文において提案するクラス編成手法は,シミュレーション実験の結果,従来と比べ優位性を証明することができた。また。本提案に基づき,クラス編成支援システムのプロトタイプを構築した。