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論文
日本語翻訳における誤り探しによる協同学習の実践
張 莉 石井 皓太北 英彦高瀬 治彦
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2018 年 45 巻 p. 109-114

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抄録

 著者らは2015年度に,日本語学習における誤りの共有と学びあいによる協同学習法を開発し,日本に留学している日本語上級の中国人日本語学習者11名を対象にして実践を行なった。学習者たちによる誤りの検出率が約80%と誤り探しによる学びあいができ,また,学習者の満足度は高かった。現在は日本語の上級ではなく中級の学習者にこの協同学習法を適応できるようにJasmineという協同学習支援システムを開発している。以前の実践では日本語作文を題材としていたが,中級の学習者にとって作文は難しいため与えられた中国語の文を日本語に翻訳する形式に変更した。また,中級者のみのグループの場合は自分たちで誤りを見つけることが難しいため,Jasmineが学習者に誤りやすいところを指摘するように開発する。指摘する誤りやすいところは,これまでの実践によって誤りデータベースに蓄積された誤りを用いる。指摘するときに学習者が正誤を判断できるように教材を用意してJasmineが提供する。Jasmineのプロトタイプが完成したので,Jasmineの運用の可能性とこの学習法の効果を確認するために試行実践を行なった。その結果,実装のバグを除いてJasmineの運用上の問題はなかった。また,Jasmineが誤りやすいところを指摘し,誤りかどうかを議論するための教材を提供することで学習者による検出率が高くなった。

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