2019 年 47 巻 p. 12-17
帰無仮説検定への過度の依存が問題となっており,改革が求められている。『コンピュータ&エデュケーション』においてその改革が進んでいるか検討するため,2014年から2018年に掲載された論文における統計に関する記述を精査した。推測統計を行った論文の90%で帰無仮説検定が行われたものの,効果量やサンプルサイズ設計について記載がほとんどなかった。これは帰無仮説検定におけるp値に依存した状態であるにもかかわらず,そこから脱するための改革が進んでいないことを示唆する。効果量を記載するなど改革を行うことにより,統計処理の適切性が増し,結論の妥当性が高まる。教育で特に重要である実用的有意性に関する情報を得ることができる。より良い実証研究のために今後の改革が期待される。