2023 年 54 巻 p. 42-47
技術的にさまざまなものが充足しており,テクノロジーの進化の方向性が不明瞭であり,予測不可能な事態により社会が急激に変化する状況において,目指すべき未来像を議論する必要性が増している。そのような状況において,近年,企業や教育の現場でSF的な発想で新しい社会ビジョンを発想するSFプロトタイピングが注目され始めている。本稿では,創作の素人だけで完結できるSFプロトタイピングの新しい手法を提案し,実証実験により検証したその有効性について報告する。その考察から大学教育の場で実施するための課題を検討し,本手法における可能性と今後の展望を述べる。