2023 年 54 巻 p. 60-65
就職ミスマッチ問題の解消には,志望業界の景気動向と求められる人材像を理解する業界研究が不可欠である。諸大学において「業界研究」と題する授業科目は多く存在するが,特定業界の有名企業を研究対象にした知識伝授型の講義スタイルが主流である。本稿で報告する授業内容は,大人数ならではの特長を活かし,学生たちが「マス・コラボレーション」によって大規模企業データベースを構築し,当該データに対するクラスタリング結果を踏まえ「データドリブン」に業界研究を行う点に独自性がある。受講生に対するアンケート調査からも,演習を通して業界研究方法の修得が進み,知らない企業に対する興味喚起も促されたことが実証された。