日本蚕糸学雑誌
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家蚕雌蛾の第9神経球より派出する各神経束中の運動および感覚神経の放電について
石川 誠男平尾 常男
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1961 年 30 巻 4 号 p. 328-333

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抄録

第9神経球から派出される神経束中の運動神経, 感覚神経のimpulse放電を銀線電極, RC増巾器, ブラウソ管オヅシロスコープ, カメラ等を用いて観察記録し次の結論を得た.
1) 第9神経球の神経束中の運動神経の活動は感覚入力や感覚入力をもった他の神経球の存在によって興奮あるいは抑制をうける.
2) 運動神経が他から神経連絡を絶たれた場合には自発性放電を行なう.しかし自発性放電をする神経は各神経束についてほぼ限られた数種類のものであって, それらは非常に規則正しく周期的に放電を続ける.
3) 各神経束中の運動神経は複眼に光刺激を与えた場合に光の明暗の変化に伴う反射としての放電を示す.神経の中には応じやすいものと応じにくいものとがあり, また応じ方もその時によって異なっている.
4) 交感神経を除く各神経束中には感覚神経が含まれており, n1中には側唇感覚毛の接触刺激を伝える神経が, n2, n3, n4中には側唇およびその附近の動きに応ずる神経が, n5n6, n7中には腹部の動きに応ずる神経が含まれている.n1を除く他の神経束中の感覚神経は大部分自己感受器官の一種である筋張力受容器からのものと推測した.

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