1961 年 30 巻 6 号 p. 431-436
金子法, MOSRER法および近藤法によってセリシンを分別し, それらフラクションについてNaClプリズムによって赤外線吸収スペクトルを測定し, それぞれの吸収帯の変化を定性的に比較検討したところ次のことが判明した。1.いずれの分別法によるも, 2種セリシンの赤外線吸収スペクトルには差異がみられる。2.金子法のA, MOSHER法のB, 近藤法のEusericinはほぼ共通の赤外線吸収スペクトルが得られ, その間に著しい分子構造上の差異は認められない。3.金子法のB, MosHER法のA, 近藤法のPseudosericinはそれぞれ若干異なる赤外線吸収スペクトルが得られ, とくにPseudosericinは前二者と明らかに区別せられ, 分子構造上の差が認められた。