日本蚕糸学雑誌
Online ISSN : 1884-796X
Print ISSN : 0037-2455
ISSN-L : 0037-2455
家蚕幼虫皮膚細胞の色素顆粒の遺伝生化学的研究
(I) 色素顆粒と油蚕性との関係
辻田 光雄桜井 進
著者情報
ジャーナル フリー

1964 年 33 巻 5 号 p. 389-393

詳細
抄録

さきに家蚕の幼虫皮膚細胞における色素顆粒中には黄色色素Sepiapterinと結合する特異的蛋白があることについて報告した(辻田・桜井;1963)。遺伝子と特異的蛋白との関係を明らかにする一方途を見出すため,この特異的蛋白の詳細な遺伝生化学的分析を企てた。しかしこの蛋白は色素顆粒の構成分の1部分であり,普通の黄体色蚕および淡黄体色蚕よりこれを単離精製して詳細な分析をする前に色素顆粒全体の化学的組成,とくに蛋白構成に関する詳しい知識をもって望む必要がある。しかし従来この顆粒を単離して化学的に研究したものは皆無の状態にあるので,これに関する実験を行なった。なおこの色素顆粒は色素類ぼかりでなく尿酸をも含み,この顆粒の存否は幼虫皮膚の油蚕性とも密接な関係をもつので,化学的分析を報告するに先立って,幼虫皮膚細胞中の色素顆粒について行なった観察結果を述べる。

著者関連情報
© 社団法人日本蚕糸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top