日本蚕糸学雑誌
Online ISSN : 1884-796X
Print ISSN : 0037-2455
ISSN-L : 0037-2455
33 巻, 5 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • (VI) 接木苗の生長におよぼす砧木の影響
    関 博夫, 押金 健吾
    1964 年 33 巻 5 号 p. 365-376
    発行日: 1964/10/01
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    著者等は育成倍数性桑樹の実用化に関する試験研究の一端として, 本桑樹の接木増殖上における砧木の適否が, その接木苗の生長におよぼす影響について試験し, さらにこの接木増殖に適する砧木実生の育成ならびに選出上の諸調査を行なった。
    1) 交雑組合わせにより2倍および3, 4倍性実生を育成し, それ等相互間の生長比較から砧木用としては, 3倍性実生が2倍および4倍性実生に比して伸長力旺盛で根量も多く, 本桑樹の接木用砧木に好適であることがわかった。
    2) 接木組合わせによる接木苗の生長を砧木別にみれば次の通りである。
    (a) 地上部の生長: 2倍および3, 4倍性接木苗とも砧木は3倍体使用区が2倍および4倍体区に比して勝っており, 接木苗としての伸長生長は3x (穂木) +3X (砧木) 区が, また収葉量は4x+3Xがすぐれている。
    (b) 地下部の生長: 接木苗の根長および根量ともに3倍性砧木区は2倍および4倍性砧木区に勝った。
    (c) T-R率: 3倍性砧木区は2倍および4倍性砧木区に比して大きい。
    3) 育成倍数性桑樹の接木増殖に当って使用すべき砧木としては, 従来の一般魯桑実生 (2x) よりも3倍性砧木使用の方が, 接木苗の生長は良好となる。
  • 川瀬 茂実
    1964 年 33 巻 5 号 p. 377-381
    発行日: 1964/10/01
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    1. 家蚕幼虫の血液および中腸蛋白質のアミノ酸組成を調査した.
    2. 5齢6日目の幼虫血液および中腸の蛋白質の構成アミノ酸は, リジン, ヒスチジン, アルギニン, アスパラギン酸, スレオニン, セリン, グルタミン酸, プロリン, グリシン, アラニン, シスチン, パリン, メチオニン, イソロイシソ, ロイシン, チロシンおよびフェニルアラニンである.
    3. 中腸の前部と後部の蛋白質のアミノ酸組成は, お互に極めて類似している.
    4. 血液および中腸蛋白質のアミノ酸組成と, 核および細胞質多角体蛋白質のそれとの関連は, 全蛋白質として測定した限りにおいてとくに密接な関連性は認められなかった.
  • 本間 慎, 田崎 忠良
    1964 年 33 巻 5 号 p. 382-388
    発行日: 1964/10/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    栽培グワの乾物再生産に関する研究を行なうにあたり, 非同化器官の呼吸による物質消耗のやくわりを知るための基礎的実験として計画されたものである。
    1. 改良を加えたBOYSEN JENSENの通気装置で桑条の呼吸量を測定する場合, 条長を40cm以上にすれば外傷による切口の影響を防ぐことができる。また切口, 葉柄のあと, えき芽をパラヒンで封じて測定することが望ましい.
    2. 条を株から切断したのちの呼吸量の変化は条の上部では時間的に急激に減少するが, 下部では一度増加し, のちゆるやかに減少する。したがって条の呼吸量を測定する場合は条を株から切りとったらすぐ測定することが望ましい.
    3. 桑条の呼吸量と温度との関係は生育期によってことなるが, 平均Q10=2.17であった.
    4. 桑条の部位別呼吸量と含水量は共に上部に大きく, 下部は小さい。両者の間には生長のさかんな時, パラレルな関係がみられた。
  • (I) 色素顆粒と油蚕性との関係
    辻田 光雄, 桜井 進
    1964 年 33 巻 5 号 p. 389-393
    発行日: 1964/10/01
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    さきに家蚕の幼虫皮膚細胞における色素顆粒中には黄色色素Sepiapterinと結合する特異的蛋白があることについて報告した(辻田・桜井;1963)。遺伝子と特異的蛋白との関係を明らかにする一方途を見出すため,この特異的蛋白の詳細な遺伝生化学的分析を企てた。しかしこの蛋白は色素顆粒の構成分の1部分であり,普通の黄体色蚕および淡黄体色蚕よりこれを単離精製して詳細な分析をする前に色素顆粒全体の化学的組成,とくに蛋白構成に関する詳しい知識をもって望む必要がある。しかし従来この顆粒を単離して化学的に研究したものは皆無の状態にあるので,これに関する実験を行なった。なおこの色素顆粒は色素類ぼかりでなく尿酸をも含み,この顆粒の存否は幼虫皮膚の油蚕性とも密接な関係をもつので,化学的分析を報告するに先立って,幼虫皮膚細胞中の色素顆粒について行なった観察結果を述べる。
  • 横川 正一
    1964 年 33 巻 5 号 p. 394-398
    発行日: 1964/10/01
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    1) 浸酸を行なう場合に, 浸酸時期が常法による適期より早くても遅くても, また催青にあたり温度が30℃のような高温, あるいは25℃との変温を行なうと, 中腸型多角体病を誘発するようである. また塩酸浸漬時間3~7分の範囲では, 浸漬時間の長短と本病発生率との間では, はっきりした傾向は認め難い.
    2) 越年卵の夏期の32℃のような高温保護と, 冬期活性化された越年卵の高温接触 (20℃に10~20日) とは, 中腸型多角体病を誘発する条件となる場合があると考えられる.
    3) 人工孵化の場合, 浸酸後の脱酸不完全は孵化には影響ないが, 中腸型多角体病の発生と関係するようである.
  • 鮎沢 啓夫, 藤吉 宣男
    1964 年 33 巻 5 号 p. 399-402
    発行日: 1964/10/01
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    (1) Bacillus thecringiensis T 84 A株の芽胞を蚕幼虫に嚥下させ, 糸で頭部と尾部を結び熱湯中に一瞬浸漬して殺し, 1頭ごとに小型シャーレに入れ, 1~4ヵ月室温で放置した。のち屍体中におけるBacilluc sthacringiensisの増殖を調べたところ, その増殖陽性率は前報 (鮎沢ら, 1962) の実験結果をはるかに上廻った。
    (2) Bacillus thuringiensis T 84 A株の芽胞を蚕幼虫に注射し, 敗血症で死亡した蚕を小型シャーレに入れ, 3週間~6ヵ月室温に放置した。屍体中のBacillus thuringiensis生菌数は例外なく1頭当り108~109個に増加し, 屍体中における結晶性毒素の形成は経口接種の場合よりも更に豊冨であった。しかし5齢3日の幼虫において結晶性毒素の形成を伴なわない芽胞形成がみとめられた。
    (3) Bacillus thuringiensisの系統によっては昆虫屍体で細菌が増殖し, 芽胞一結晶性毒素が比較的容易に形成される。
  • 鮎沢 啓夫, 古田 要二
    1964 年 33 巻 5 号 p. 403-406
    発行日: 1964/10/01
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    反復冷蔵によって選抜した多角体病誘発抵抗性系統の選抜17~19代において行なった実験結果は次のとおりである。
    1. 選抜系統は17~19代においても原系統にくらべ低温処理を行なった場合の生存率は高く多角体病誘発率は低かった。
    2. 選抜系統と原系統とを交雑しそのF1を低温処理したが蚕期と交雑型式によってかなり異なり, 遺伝的説明に資するような結果はえられなかった。強いていえば選抜系統を母体とする交雑種の生存率は, 両親の中間値またはそれを上廻り, 多角体病誘発率は両親のそれよりも低いか中間値を示した。原系統を母体とする交雑種においては, 選抜系統を母体とする交雑の場合と異なった結果が示された。
  • (IV) 休眠ホルモンの卵巣のグリコーゲン量および血糖量に及ぼす作用
    山下 興亜, 長谷川 金作
    1964 年 33 巻 5 号 p. 407-416
    発行日: 1964/10/01
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    催青条件の差異, 蛹期におけるSG摘出あるいは休眠ホルモン抽出物の注射などによって休眠性を人為的に変えた実験蛹を作り, これらの卵巣およびその他の組織の炭水化物量を調査した結果, 休眠ホルモンが蛹の炭水化物代謝に関与していることが判明した。
    1) 大造黒および大造生の雌蛹全体の糖量は蛹期を通じてその含量は少なく, かっ量一的な変動は認め難いが, グリコーゲン量は蛹の発育にしたがって減少し, その様相は催青条件の差異によって変わらない。
    2) 卵巣のグリコーゲン量は蛹の発育と共に一様に増加するが, 増加割合は大造黒の蛹の後期において特に著るしい。
    3) 休眠性蛹のSGの摘出は卵巣のグリコーゲン量の減少, 血糖量の上昇, 脂肪組織のグリコーゲン量の増加を引きおこすがマルピーギ管, 中腸および蛹全体の炭水化物量には変化をもたらさない。
    4) 休眠ホルモン抽出物を非休眠性蛹に注射するとその血糖量は低下し, 卵巣のグリコーゲン量は増加する。注射量が多いほど卵巣のグリコーゲン量は増加した。
    5) 休眠ホルモン抽出物の注射効果は注射4時間後にすでに認められ, 血糖量については12時間後に, 卵巣のグリコーゲン量については36時間後にその効果が最大となった。
    6) 休眠ホルモンの作用の1つは, 血糖の卵巣への透過かあるいは卵巣でのグリコーゲン合成能の促進作用であろうと推察した。
  • 鮎沢 啓夫, 古田 要二, 長楽 勇
    1964 年 33 巻 5 号 p. 417-418
    発行日: 1964/10/01
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    It is already known that the incidence of polyhedroses in silkworm larvae after cold treatment decreases by starvation. However, the incidence of polyhedroses greatly increases by feeding a small amount of mulberry leaves which will cause a metabolic change in larvae to stimulate the induction of polyhedroses.
  • 四方 正義
    1964 年 33 巻 5 号 p. 419-423
    発行日: 1964/10/01
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
  • 針塚 正樹, 富士野 力, 竹田 寛, 西躰 隆雄, 斎藤 忠一, 横浜 糸検, 鈴木 四郎, 松本 介, 細田 一夫, 秦 信親, 木村 ...
    1964 年 33 巻 5 号 p. 424-433
    発行日: 1964/10/01
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    上蔟に関する問題点
    養蚕農家の実態らか見た上蔟時の問題点
    熱蚕の行動から見た上蔟上の問題点
    熱蚕収集法の問題点
    自然上蔟に関する諸問題
    討論
    製糸における生産性向上をめぐる諸問題
    生糸消費の現状と将来
    絹と人造繊維の共存について
    蚕晶種育成の一方向
    生童性向上を目的とする製糸機械の改良研究
    繭繊維加工における生産牲向上の技術的条件と自動化
feedback
Top