日本蚕糸学雑誌
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サクサン多角体ウイルスの新しい系統について
浅山 哲
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1964 年 33 巻 6 号 p. 464-469

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抄録

飼育中のサクサンに発生した核型多角体病罹病幼虫のなかに, 従来の普通に認められる多角体 (大きさ1~2ηの3角形, 4角形のもの) とは異なる多角体を形成した個体を発見した.
1) 本多角体の形状は, 角のまるい3角形のものが大部分であるが, この他に4角形, 不定形のものが少数混在した.
2) 本多角体の大きさは宿主の発育時期によって多少異なったが, 最終齢の罹病虫から精製した多角体の大きさの算術平均値は5.18η, 標準誤差は0.049, 変異係数は21.2%であった.
3) 本多角体はピクリン酸, オレンジG, フクシン, メチレンプルー, エオシン, メチルグリーン, サフラニン等に好染し, 酸, 有機溶媒に不溶で, アルカリに溶解した.
4) 本ウイルスはサクサンの他に, ヒマサン, チョサンには感染性をしめしたが, 家蚕では感染は認められなかった.5) 本ウイルスはサクサン体内において, 従来からあったウィルスと混合感染することが認められたが, 同一核内における両種多角体の混在は認められなかった.
6) 潜伏期, 病徴および病変等は, 従来の型のウイルスに感染した場合とほぼ同様であった.
7) 本ウイルスの起源について考察した.

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