日本蚕糸学雑誌
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摘桑機に関する基礎的研究
(I) 桑葉の引張抵抗について
田原 虎次藍 房和須藤 允
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1967 年 36 巻 1 号 p. 23-29

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抄録

摘桑機開発のための基礎資料として, 条より桑葉を引き離す際の桑葉の引張抵抗特性を検討した。その結果を要約すると, 次のようである。
1. 条より桑葉を引き離す際の引張強さは, ばらつきは大きいが平均16.62kg/cm2である。引張強さは葉位によってかなり異なるが, 14~35葉位間の桑葉が最大の引張抵抗値を示す。その数値は概略18.1kg/cm2程度である。14~35葉位間の前後は弱いが, 傾向としては14葉位までは漸次増大の傾向に, 35葉位以上は減少の傾向をもっている。
2. 桑葉各部の引張強さは, 葉柄の付根部, 葉柄中間部, 葉身部で異なり, もっとも弱い部分は葉柄の付根部で, 強いのは葉柄中間部である。したがって, 引張摘桑に際しては葉柄の付根部で採取することが合理的である。また, 引張方向については, 条に対して直角方向に引張るときは, もっとも抵抗が大きいので, 条に平行に引き離すことが有効である。
3. 葉重と引張力との比の値 (F/W) から検討すると, 振動収穫方式単一での摘桑はかなり問題があるようである。
4. 引張抵抗特性から摘桑機の作用原理を検討すると, 条によって, あるいは1本の条でも葉位によってかなり強さが異なるので, 摘桑の作用原理は単一ではなく組合せた方式の方が効果的と思われる。

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