1967 年 36 巻 1 号 p. 16-22
Bacillus thuringiensis T 84 A 1株の結晶性物質は家蚕消化液に溶解する。その溶解条件を検討した結果, 家蚕消化液の溶解作用は単に消化液のアルカリ性のみによるのではなく, 消化液中の酵素作用で行なわれると推測した。
結晶性物質をアルカリ性溶液に溶解した粗毒素と消化液に溶解した試料ではセファデックス, DEAE-セルローズによる溶出曲線が異なり, 溶解作用に相違があることがわかった。
結晶性物質を消化液に溶解しセファデックスG-75で精製した毒素成分のLD50は0.072γ/gであった。
T 84 A 1株の精製毒素は家蚕中腸組織の筋肉, 上皮細胞の分離, 崩壊を起こすことを認めた。