日本蚕糸学雑誌
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クワ縮葉細菌病の発生生態に関する研究
IV. 病原細菌の各種要因に対する抵抗力
佐藤 守高橋 幸吉
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1974 年 43 巻 3 号 p. 217-223

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抄録

クワ縮葉細菌病の発生生態を知る手がかりとして病原細菌 Pseudomonas mori の各種要因に対する抵抗力を調べ, 次の結果を得た。
(1) 5月・10月の太陽光線の30分間照射で, 本菌の大部分は死滅した。
(2) 紫外線 (殺菌灯15W, 2537Å, 40cm) の40秒照射で本菌の大部分は死滅した。しかし細菌濃度が108/mlを越えると, 生残率は明らかに高まった。
(3) 本菌の生育可能温度は, 2.5~34℃, 生育適温は28~32℃であった。湿熱10分間処理による死滅温度は, 細菌濃度によって異なり, 109/mlでは52℃, 103/mlでは46℃であった。乾熱による10分間死滅温度は, 110℃であった。殺菌蒸溜水中での本菌の生存は, 細菌濃度が高いほど, また低温ほど安定であった。
(4) 本菌はカバーグラス上の乾燥状態で37日間生存した。
(5) 本菌はpH 4~10の範囲で生育し, pH 5~7で極めてよく生育した。

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