日本蚕糸学雑誌
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クワ縮葉細菌病の発生生態に関する研究
V. Pseudomonas mori ファージの各種要因に対する抵抗力
佐藤 守
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1974 年 43 巻 3 号 p. 224-229

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抄録

クワ縮葉細菌病菌 P. mori ファージの太陽光線, 紫外線, 温度, 乾燥およびpHに対する抵抗力を調べ, 次の結果を得た。
(1) ファージの不活化は, 太陽光線の強さによって影響され, 4月の実験では180分照射によってもなお完全には不活化されなかったが, 5月中旬の調査では60分で完全に不活化された。
(2) 一定の強さの紫外線 (15W殺菌灯・40cm下) 照射によるファージの不活化は, ファージ液の濃度によって影響され, ファージ濃度が高まるにつれて生残率は高くなった。
(3) ファージの溶菌班形成温度は, 2.5~25℃であって, 適温は20℃前後であった。乾熱10分間処理による死滅温度は120℃であった。殺菌蒸溜水中のファージの生存は, 高濃度ほど, また低温ほど安定であった。
(4) 乾燥状態で50日以上活性を維持した。
(5) pH 5~9の範囲で活性を維持した。
以上の結果を, P. mori と比較すると, pHに対しやや狭い適応力を示し, 乾熱および乾燥に対しやや強い抵抗力を示した。

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