日本蚕糸学雑誌
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ウイルス性軟化病蚕で認められた細胞増殖性組織病変について
栗栖 弌彦
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1975 年 44 巻 5 号 p. 340-344

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抄録

1 軟化病ウイルスの皮下接種によって, 中腸皮膜組織に乳頭状細胞腫, 炎症性細胞腫と仮称した2種の腫瘍様病変が発現し, ともに細胞の異常増殖性が顕著であった。乳頭状細胞腫は賁門部周辺に現われやすく, 皮膜組織が体腔側に瘤状隆起していたが, 増殖堆積細胞は未分化で, 盃状細胞は認められない。また炎症性細胞腫は, 剖検的には狭窄異常として認められたが, 組織学的には大小不同の核が重積しており, 従来から腫瘍様病変とよばれてきたものにあたる。
2 また軟化病ウイルス皮下接種後の頻死症状蚕の体腔内組織に, 癒着性細胞腫と仮称した細胞増殖性病変も認められた。これらは, 筋肉組織での核の異常増加, 筋肉, 気管皮膜周辺で認められた細胞の異常増殖, 由来不明の糸状組織の発現などの諸病変を総括したものである。

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