日本蚕糸学雑誌
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生糸極値繊度の出現性に関する研究
III. 極値特性推定のための標本細分法について
嶋崎 昭典西岡 孝彦柳沢 昭男
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1975 年 44 巻 5 号 p. 345-350

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抄録

Xiは生糸荷口からとられた大きさNの標本において, 最細繊度あるいは最太繊度から第i番目の繊度とする。ここで, Xiの平均値と分散をE[Xi]=μ(Xi, N), V[Xi]2(Xi, N)と表わすものとする。そこで, Zk(N)=∑ki=1Xi/kなるZk(N)の平均値と分散は
E[Zk(N)]=∑ki=1μ(Xi,N)/k
V[Zk(N)]=[∑ki=1σ2(Xi,N)+2∑i<j∑ρij(N)σ(Xi,N)σ(Xj,N)]/k2
で与えられる。ここにρij(N), i<j≦kXiXjの相関係数である。実験結果からρijは高い正の値を示すことが知られた。それゆえに, Zk(N)は必ずしも極値特性を推定するよい統計量とはいえない。つぎに, 大きさNの繊度糸を大きさn(N>n, r=N/n)のの副次小集団へ分割した。X1j(n), Xnj(n)は, それぞれ, 小集団における最細, 最太繊度を示すものとする。ここに, j=1,2,…,rnは小集団の標本の大きさである。そこでU1(r), Un(r)
U1(r)=∑rj=1X1j/r, Un(r)=∑rj=1Xnj/r
なる値で荷口の極値繊度特性の推定を試みた。その結果, 例えば, もしもN=200の標本を標本数50以下の小集団に分割するならば, U1(r), Un(r)Z4(200)よりもよい推定値を与えることが知られた。

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