日本蚕糸学雑誌
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重金属汚染土壌およびそのpHがクワの乾物生長と器官別重金属濃度におよぼす影響
本間 慎白田 和人
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1977 年 46 巻 4 号 p. 283-290

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抄録

東邦亜鉛KK安中製錬所近辺の重金属汚染土壌を用いてクワのさし木苗のポット試験を行い, 土壌中の重金属濃度ならびに土壌pHの違いがクワの乾物生長と器官別重金属濃度におよぼす影響について検討した。
1. 土壌pHが低く, それに加え, 土壌重金属濃度が高くなると, クワの発根阻害や根の奇形化をもたらし, 桑葉にはクロロシスが発現した。
2. クワの乾物生長阻害は土壌中の重金属濃度が高いほど大きく, 土壌pHの低下はさらにその阻害度を顕著に高めた。しかし, そのような土壌でも土壌pHを7.0に調整するとクワの乾物生長は軽減された。
3. カドミウムおよび亜鉛の吸収量は土壌重金属濃度が高いほど, また土壌が酸性化するほど大であった。
4. 展開器官中の重金属濃度は土壌pHが高いほど低下した。ただし, 高濃度区の葉および新条のカドミウム濃度は土壌pH5.5よりpH7.0の方が高い値を示した。

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