1977 年 46 巻 4 号 p. 301-305
カイコ幼虫の眠期における脂肪組織の新生およびこれにおよぼす核多角体病ウイルスの影響について病理組織学的な観察を行った。
幼虫の脂肪組織は眠期の直前より有糸分裂により増殖し, 眠期には基底膜が融解して細胞は個々に遊離した。その後脱皮の時期には再び新しい組織が形成された。この現象はいずれの齢においても観察された。
核多角体病ウイルスを接種した場合には前述の脂肪組織の改変は顕著に阻害された。低温処理後に本ウイルスを接種した場合には新生脂肪組織の発達は顕著に阻害された。一方, 大造では低温処理後のウイルス接種でも新生脂肪組織の発達は阻害されず, 低温処理後のウイルス接種に強い抵抗性を示した。