日本蚕糸学雑誌
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家蚕軟化病ウイルス (伊那株) の精製
前田 進渡部 仁松井 正春
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1977 年 46 巻 4 号 p. 313-317

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抄録

軟化病ウイルス (伊那株) の精製法について検討を行った。また精製伊那株ウイルスに対する抗血清を作成し, Ouchterlony 法により坂城株ウイルスとの血清学的関係を調べた。それらの結果は次の通りである。
1. 病蚕中腸を材料にしてフロロカーボン処理-50% (W/W) ショ糖液の分画遠心-ショ糖密度勾配遠心を行う方法により, 比較的簡単に純度の高いウイルスが精製できた。この精製方法の過程でクロロホルム処理あるいは硫安塩析を行っても精製度は変らなかったが, 50%ショ糖液を用いないで超遠心を行った場合には精製度が低かった。またショ糖密度勾配遠心のかわりにCsCl密度平衡遠心を行った場合には精製度はかなり低下した。
2. 精製伊那株ウイルスの抗血清はFVと反応しなかったが, 坂城株から分離された小型軟化病ウイルス (松井株) とはよく反応し, 伊那株ウイルスは松井株ウイルスと近縁もしくは同種のウイルスと推定された。

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