1977 年 46 巻 4 号 p. 318-324
風洞内において, Fusarium lateritium f. sp. mori と F. solani f. sp. mori の分生胞子の離脱・飛散条件を調査したところ, これら病原菌の分生胞子は風のみでは離脱せず, 水滴をともなった風でよく離脱・飛散し, 風速が増すにつれて離脱分生胞子数・飛散距離がともに増加する傾向がみられた。野外で降雨時に雨水を採集し, 罹病枝からの距離別に含まれる分生胞子の数を調査したところ, 罹病枝に近い程胞子数は多いが, 2m離れた地点でも採集された。これは上述の離脱・飛散条件についての実験結果を裏づけるもので, 主として雨中の風によるものと推定される。桑条上でスポロドキヤをなす分生胞子のみならず, 一旦空中に浮遊し桑条や桑葉上に沈着している分生胞子についても同様に雨をともなった風によって飛散し, 9月あるいは10月頃ならば重要な伝染源になるものと推定される。