日本蚕糸学雑誌
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家蚕卵巣へのD-アラビノースの透過機構について
島田 秀弥山下 興亜長谷川 金作
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1977 年 46 巻 4 号 p. 331-337

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抄録

家蚕蛹の卵巣における糖の透過機構をD-アラビノースを用いて検討した。
1. D-アラビノースの卵巣への取り込みは, 培養後すばやく取り込まれる相とその後ゆっくり取り込まれる相が示された。
2. D-アラビノースの卵巣への取り込みは濃度差に逆らった過程を示し, D-アラビノースの卵巣への取り込みは濃度勾配に対し飽和現象を示した。
3. D-アラビノースの取り込みに対するD-グルコースの阻害効果が示された。
4. D-アラビノースの卵巣への取り込みに対する親和性はD-グルコースのそれよりも低かった。
5. 各種糖類の卵巣への取り込み量の多い順位は, ペントース類ではD-キシロース>L-アラビノース>L-キシロース≒D-アラビノースであり, ヘキソース類では, D-フラクトース≧D-グルコース>D-マンノース>D-ガラクトースであった。
6. D-アラビノースの取り込みは代謝阻害剤 (NaCN, NaN3) で阻害された。
7. 卵巣への糖の透過機構は濃度勾配にしたがった拡散による過程と代謝エネルギー依存性の能動輸送による過程とから成り立つと推察した。

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