日本蚕糸学雑誌
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家蚕4倍体およびモザイクにおける絹糸腺の核酸の消長
倉田 啓而重松 孟
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1977 年 46 巻 4 号 p. 338-346

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抄録

4倍体蚕を作りその絹糸腺の核酸量と繭層重の関係および絹糸腺細胞数を調べた。それらの結果をもとに4倍体蚕の絹糸蛋白質産生の増大の可能性を考察した。4倍体の絹糸腺細胞のDNA量は2倍体蚕に比較し2倍となったが, RNA量は2倍とならなかった。繭層量は2倍体蚕の78%にとどまった。4倍体蚕の絹糸腺細胞数は2倍体蚕の半分に減少した。中腸組織のDNA量が2倍体蚕と変らないことから推定し, 中腸細胞の数も2倍体蚕の半数の可能性が高い。
勝木モザイク蚕を用いて日124号および610とのモザイク蚕を作り, モザイク蚕の絹糸腺重と核酸量との関係を調べた。モザイク蚕の絹糸腺重は皮膚モザイクと一致した左右モザイクとなり多糸量系と少糸量系の表現型をとった。同時に後部絹糸腺のDNA量, RNA量とも良く一致した。RNA合成量はそれに関連した遺伝子群の支配をうけ, その遺伝子群の発現状態はまた生体の生理的条件にも影響をうけていると考えられた。また遺伝的に不変と思われていたDNA量も生体の生理的条件により可動である可能性がみられ。

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