日本蚕糸学雑誌
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クワ芽枯病菌の土壌中における厚膜胞子形成度と発病桑園土壌からの検出
斎藤 英毅山田 則幸中西 宏松尾 卓見
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1978 年 47 巻 3 号 p. 193-200

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抄録

F. lateritium f. sp. moriF. solani f. sp. mori の数菌株について, 土壌浸出液中における厚膜胞子の形成度を検討したところ, F. lateritium f. sp. mori は形成し難いか, またはわずかに形成し, F. solani f. sp. mori は多くの厚膜胞子を形成した。しかし, 形成量は両菌とも菌株によってかなりに異なることが認められた。自然土壌中では, F. lateritium f. sp. moriF. solani f. sp. mori に比し生存し難い傾向がみられた。自然土壌中での生存に関する実験を春に開始した場合と秋に開始した場合を比較すると, 一般に前者よりも後者の方が土壌中での生存の減少はゆるやかであった。クワ芽枯病発病桑園の土壌からは重要な病原菌の F. lateritium f. sp. mori は年間を通じて検出されず, F. solani f. sp. mori および F. solani f. sp. pisi はわずかながら分離された。この他に非病原菌の F. solani, F. roseum‘Semitectum’‘Equiseti’‘Graminearum’‘Culmorum’, F. oxysporum どが分離された。土壌を深さ別にみると, 深くなるに従い Fusarium の菌数は減少する傾向がみられたが, 表土近くと深さ50cmの地点での種または cultivar の違いは顕著にはみられなかった。

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