日本蚕糸学雑誌
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カイコ血液プロテアーゼインヒビターの電気泳動像の品種間比較
江口 正治上田 和幸山下 雅樹
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1984 年 53 巻 1 号 p. 27-32

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抄録

血液中のプロテアーゼインヒビターの電気泳動豫を126系統のカイコについて比較検討した。プロテアーゼにはα-キモトリプシンおよびAspergillus melleusから得られた酵素を用いた。実験の結果, 系統によって特異的パターンが見られることが明らかになり, 糸状菌のプロテアーゼを用いると, 計6本 (A~F) の陽極へ移動するインヒビターが認められ, キモトリプシンの場合には陽極側に6本, 陰極側に1本, 原点に1本のバンド (a~g) が検出された。これらの中で, AおよびEはすべての系統に認められたが, Bは中国種2, 欧州種1系統にのみ, またeは中国種4系統にのみ検出された。bは日本種には存在せず, fの分布も品種にょり偏っていた。F1世代では両親のバンドを併有し, F2での分離をみると, 現在までの結果ではバンドを持つものが欠損型に対し, 優性として作用することがわからた。これらの結果につき, 遺伝学および生理学的観点から考察する。

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