日本蚕糸学雑誌
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Bacillus thuringiensis 結晶体の毒素タンパク質の精製と性状
Bacillus thuringiensis 結晶性毒素に関する研究 V
関 武純安部 一紀筒井 亮毅渡辺 忠雄
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1984 年 53 巻 1 号 p. 41-47

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抄録

Bacillus thuringiensis subsp. dendrolimusT84 A1株の産生する結晶性毒素を, 精製した家蚕消化液プロテアーゼにより溶解し, 毒素タンパク質の分離・精製を行った。溶解した毒素タンパク質は, 沈殿を生じやすく不安定であったが, 0.2Mトリス-塩酸衝液 (pH 8.5)に1mMEDTA, 0.1Mグリシン, 0.1-2M尿素などを添加すると沈殿は生ぜず, 安定化された。精製された毒素タンパク質は, 分子量66,000の単一のタンパク質分子と推定された。精製段階における毒性の変動は次のようであった。プロテアーゼにより溶解された毒素のLD50は, 家蚕幼虫に対して0.29μg/gであった。ゲル滬過により分離された毒素タンパク質のLD50は0.14μg/gとなり, 毒性は約2倍に上昇した。DEAE-セルロースカラムクロマトグラフィーでは, 毒素タンパク質のLD50は0.14μg/gであった。

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