日本蚕糸学雑誌
Online ISSN : 1884-796X
Print ISSN : 0037-2455
ISSN-L : 0037-2455
少セシリン系生糸の滑り性付与効果
桑原 昂柳森 弘美
著者情報
ジャーナル フリー

1984 年 53 巻 1 号 p. 48-52

詳細
抄録

少セリシン系生糸の耐摩耗性を向上させる目的で, ラウリル系の滑り剤で濃度別に処理し, 滑り剤処理効果を摩擦による物性変化によって調べた。静摩擦係数は, 水, エチルアルコール処理だけでも低下するが, 滑り剤の使用によって低下の度合はさらに大きくなり, 特にラウリン酸0.5%, ラウリン酸アミド0.25%濃度処理区の低下が顕著になる。強度は, 滑り剤処理によっておおむね向上するが, 低濃度処理における向上の度合が大きく, 高濃度処理では小さい。また, 処理生糸の摩擦による強度変化は, ほとんどみられない。伸度は, いずれも滑り剤処理のみでは未処理値よりかなり低下するが, 摩擦後は向上の傾向を示し, ほとんどが未処理値を大きく上回る。このような傾向は, 生糸の差よりむしろ処理剤の種類・濃度の違いによる影響が大きく, ラウリン酸やラウリン酸アミドの低濃度 (0.25~1.0%) 処理によって, 生糸の耐摩耗性の向上が期待できる。

著者関連情報
© 社団法人日本蚕糸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top