日本蚕糸学雑誌
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スルファトエチルスルホン型反応染料と絹の反応機構
道明 美保子清水 慶昭木村 光雄
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1984 年 53 巻 1 号 p. 64-68

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抄録

スルファトエチルスルホン型反応染料と絹との反応機構を解明するため, C. I. Reactive Blue 19のスルファトエチルスルホン型 (エステル) とビニルスルホン型 (ビニル) を用いて絹および水との反応を調べた。pH5ではビニルがエステルより反応し易く, pH7では同じ位であった。pH9では約2時間まではほぼ等しく, それ以後はエステルの方がビニルより若干固着度が大であった。水との反応速度は両者大体同じであり, エステルはアルカリ性溶液中では短時間のうちに全て他の成分 (すなわち, ビニル, ヒドロオキシおよびエーテル) に変化してしまうことが明らかになった。従って, エステルは染色行程中にビニルに変化し, 生じたビニルが求核付加により絹と反応すると結論する。

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