抄録
二面交雑により繭層練減率の遺伝分析を行った。その結果, 優性効力よりも相加効果の方が大きく, 練減率は複数の不完全優性遺伝子に支配され, 有効遺伝子数は余り多くないものと推定された。遺伝率 (狭義) は高い値 (0.79) を示したが, エピスタシス効果が認められ, さらに細胞質効果による正逆交雑間の差異が明示された。練減率の低い方向には優性遺伝子が関与しており, 低練減率系の固定は難しいものと判断された。交雑F1では両親の平均値より低い練減率を示す場合が多く, 優れた組合せ能力を有する交配形式をみいだすことも育種の一手段と判断された。練減率を構成するセリシン量とブィプロイン量は複数の完全優性遺伝子に支配され, 絹糸腺における蛋白合成を共通的に調節する遺伝子と, 中部及び後部における蛋白合成を別々に調節する遺伝子とが想定でき, 練減率は後者遺伝子の作用関係で決るものと考えられるので, 練減率に関与する遺伝子数は推定値より多いものとみるべきであろう。