抄録
乳幼児肝血管内皮腫(以下本症)は自然消失する症例がある一方,重篤な状態を来し外科処置を必要とすることも多い.今回外鼠径ヘルニアに対しlaparoscopic percutaneous extraperitoneal closure(以下LPEC)施行時に偶然発見し,自然消失した本症の1 例を経験したので報告する.症例は1 か月の女児.当科にて左卵巣脱出を伴う鼠径ヘルニアに対してLPEC 施行時に偶然,多発する肝腫瘤を発見した.腹部超音波検査,造影CT 検査およびMRI 検査より本症と診断した.発見時に無症状で血液検査でも異常を認めなかったこと,本症では自然退縮する場合があることより経過観察の方針とした.腹部超音波検査で6 か月後より腫瘤の不鮮明化・縮小化が確認され,腫瘤が描出困難となった2 年1 か月後には腹部MRI 検査で腫瘤の完全消失を認めた.