日本蚕糸学雑誌
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重金属で生じた奇形根の細胞・組織的性状
久野 勝治
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1984 年 53 巻 3 号 p. 191-197

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抄録

カドミウム, 銅および亜鉛のそれぞれ10-5~10-3Mで処理して出現した奇形根の細胞組織的性状を観察した。カドミウム処理根では先端部の肥大などのほか皮層細胞の収縮, 異常肥大, 中心柱細胞の圧縮, 壊死などが高濃度処理区でみとめられた。銅処理根では各組織の細胞分裂が多方向で阻害された。すなわち, 組織形成の乱れ, 組織のキメラ化, 組織間または組織内の生長の不均衡, 核の変形, 組織間の剥離, さらに進んで膜系の崩壊による核質の凝集が引き起こされていた。亜鉛処理根では皮層の局部的な肥大現象以外奇形現象は高濃度処理区でもほとんど認められなかった。異常現象の発生を根の区域別にみると根端付近に集中していた。

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